映画「ブラック・クランズマン」は2019年公開のアメリカ映画です。
本作はスパイク・リー監督会心の作品に仕上がっています。
スパイク・リー監督らしい人種差別を扱った作品ですが、娯楽性と社会性がとてもバランスよく描かれていて本当に素晴らしい作品です。
しかも実話ベースの作品というから驚き!!
この記事では本作が本当に実話通りなのか?実際の人物の紹介など含めネタバレ解説しています。
また、世間での評価、僕の個人的感想、Blu-ray/DVD情報、VOD情報など盛りだくさんです。
この記事は基本的にネタバレ全開です。まだ観ていない方は先に動画配信サービスで観ることをおススメします。
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では、早速映画がどこまで実話なのか解説していきます!
レッツ!!ムーヴィン!!!
もくじ
ブラッククランズマンは実話通りなのか?
本作は黒人警官がKKKに潜入するという仰天展開が売り!
しかも実話というから驚きじゃありませんか!!
ここからは映画が実話通りなのか解説していきますね!
登場人物は実在するのか?
まずは登場人物が実在するのかどうか?
主な人物4人をピックアップしてご紹介します。
ロン・ストールワース
まず主人公のロン・ストールワース。
もちろん実在する人物です。2020年3月現在もご存命で、映画が公開する際はメディアにも度々登場していました。
こちらがご本人↓↓
ロン・ストールワースさんは1978年にコロラドスプリングス警察署で初めての黒人警察官になった人物です。
演じているのはジョン・デヴィッド・ワシントンですね。
フリップ
次にロンの相棒であるフィリップ・"フリップ"・ジマーマン刑事。
ロンに白人刑事の相棒がいたのは事実のようですが、実際の名前は不明です。
映画では「フリップ」、原作小説では「チャック」という名前になっています。
実際の画像も残っていませんでした。
演じているのはアダム・ドライバーですね。
デービッド・デューク
続いてデービッド・デューク。
KKKの最高幹部でお偉いさんですね。ロンと電話で意気投合してた奴です。
デービッド・デュークは実在する人物です。2020年3月現在69歳で存命しています。
こちらがご本人↓↓
映画で描かれている通り、白人至上主義者であり、反ユダヤ主義者であり、KKKの元最高幹部です。政治家として活動しており1989~1992年までルイジアナ州下院議員として活動、大統領予備選の候補になったりもしました。
映画で描かれている人物像など大筋で実話通りです。
演じているのはトファー・グレイスです。
クワメ・トゥーレ
黒人解放運動家であるクワメ・トゥーレは実在する人物です。
本名はストークリー・カーマイケル。クワメ・トゥーレという名は通称です。映画では過激な黒人活動家のカリスマとして描かれていましたが、実際そういった人物です。
こちらがご本人↓↓
キング牧師が提唱した非暴力主義による黒人解放運動とは対照的に、暴力的で過激な「ブラック・パワー」運動を提唱した人物。まさに黒人解放運動の中心にいた人で、この手の活動家では超有名人です。
演じているのはコーリー・ホーキンズです。
以上、4人が本作のキーパーソンといって良いでしょう。全員実在する人物です。
KKKとは?
ロンが潜入捜査をするKKKなる団体。
このKKKはもちろん実在し、現在も存続しています。
実際の画像↓↓
クー・クラックス・クラン(Ku Klux Klan)の頭文字をとってKKKと呼ばれている白人至上主義団体で秘密結社です。
団員は「クランズマン」と呼ばれています。本作のタイトルはこのことに因んだタイトルです。
潜入捜査は本当に行われたのか?
では、映画のような潜入捜査は行われたのか?
答えはイエスです!
コロラドスプリングス警察署初の黒人警官になったロンは、日課である新聞チェックの際にある広告に目が留まったそう。
そこには「KKKへの情報はこちらにご連絡ください」と書いてあったそうです。
それを見つけたロンは、「わたしは白人です。アメリカに住む、アーリア人の家系の純粋な白人です。わたしが嫌いなのは……」といった内容の手紙を出したんだとか。
もう完全に映画の通りです。
その後もほぼ映画通り。電話での対応はストールワースが、対面での対応は相棒の白人刑事が担当しKKKに対して潜入捜査をしています。
ロンと相棒の白人警官は実際にKKKの会員証をゲットするまで完璧に潜入しています。
実際の会員証↓↓
ロンはインタビューでこう語っています。
ーーーーこの捜査のなかで、最もワクワクしたのはどんなことですか?
「デビッド・デュークをやりこめたこと。たぶん、そのときが一番スカッとした気分になったかな。」
映画の時間より引用
つまり大筋は実話通りというわけですね。
ただ、正直、どこまで脚色されたのか正確には分かりませんでした。その点に関しては監督はもとより、ロン本人も明かしていません。
更に詳しくはご本人が書いた原作小説を読んでみるのが良いと思いますが、こちらも小説的な脚色はあるように思います。
以上、ブラッククランズマンは実話通りなのか?についてでした。
次は原作についてです。
原作は?
本作の原作は本作の主人公でもあるロン・ストールワース本人による「ブラック・クランズマン」です。
日本語翻訳版も出版されています。
次は作品情報とキャストの解説です。
作品情報とキャスト
映画「ブラック・クランズマン」は2019年公開のアメリカ映画です。
興行収入は9340万ドルとなっています。
脚本 : スパイク・リー他
原作 : ロン・ストールワース『ブラック・クランズマン』
製作 : スパイク・リー、ジョーダン・ピール他
音楽 : テレンス・ブランチャード
フィリップ・"フリップ"・ジマーマン : アダム・ドライバー
デビッド・デューク : トファー・グレイス
クワメ・トゥーレ : コーリー・ホーキンズ
パトリス・デュマス : ローラ・ハリアー
ウォルター・ブリーチウェイ : ライアン・エッゴールド
フェリックス・ケンドリックソン : ヤスペル・ペーコネン
他
本作の監督はスパイク・リー監督です。
社会派作品を多く手がける名監督ですね!自らも黒人であるが故、特に人種差別については徹底的に戦う姿勢を崩しません。
本作はアカデミー賞で脚色賞を受賞していますが、この年に作品賞に選ばれたのは同じ人種差別を扱った「グリーンブック」。スパイク・リー監督は作品賞が「グリーンブック」と発表された時、怒りをあらわにして会場を出ようとする騒ぎがありました。
「グリーンブック」は人種差別を扱ったと言っても、白人の救世主映画と見られることも多い作品・・・結局、白人が黒人を救うような展開になっており、カッコいい白人を描いているだけってことですね。
それもあり、「本当の差別はこうなんだよ!!これがリアルなんだよ!!」的な感情が沸き上がったんでしょう・・・それほどまでに真剣に人種問題に取り組む監督なんです。
本作にもそんな監督の意志が色濃く反映されていますね!
キャストの方は主人公のロン役にジョン・デヴィッド・ワシントン!
ジョン・デヴィッド・ワシントンは名俳優デンゼル・ワシントンの息子です。
ジョン・デヴィッド・ワシントンは、スパイク・リー監督、デンゼル・ワシントン主演で1992年に公開された「マルコムX」にも出演していました。この「マルコムX」は過激な黒人公民運動家マルコムXの自伝的映画・・・なんとなく繋がってくるようなキャスティングですね!
そして!ロンの相棒フリップをアダム・ドライバーが演じています。
アダム・ドライバーといえば「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のカイロ・レン役として大ブレイク!その後3部作に出演し、一躍時の人になった存在。
しかし、アダム・ドライバーは普通に演技も素晴らしいともっぱらの評判なんです。
本作でも素晴らしい演技を見せてくれますね!
本作は基本的に俳優陣の演技が素晴らしいんですが・・・特にジョン・デヴィッド・ワシントンとアダム・ドライバーは最高ですね!
次はあらすじです。
あらすじ
1970年代半ば、アメリカ・コロラド州コロラドスプリングスの警察署でロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は初の黒人刑事として採用される。署内の白人刑事から冷遇されるも捜査に燃えるロンは、情報部に配属されると、新聞広告に掲載されていた過激な白人至上主義団体KKK<クー・クラックス・クラン>のメンバー募集に電話をかけた。自ら黒人でありながら電話で徹底的に黒人差別発言を繰り返し、入会の面接まで進んでしまう。騒然とする所内の一同が思うことはひとつ。
KKKに黒人がどうやって会うんだ?
そこで同僚の白人刑事フリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)に白羽の矢が立つ。電話はロン、KKKとの直接対面はフリップが担当し、二人で一人の人物を演じることに。任務は過激派団体KKKの内部調査と行動を見張ること。果たして、型破りな刑事コンビは大胆不敵な潜入捜査を成し遂げることができるのか―!?公式サイトより
次はポイント解説です。
ここがポイント!!ネタバレ解説
ここからは本作のポイントを4つに絞って軽く解説していきます。
実話だということ
この記事の前半でも解説している通り、本作は実話ベースの映画です。
しかも本人が書いた原作小説を基にしているためほぼほぼ史実通り。
ただ、大筋は実話通りですが、どの部分が脚色なのかはロン本人のみぞ知るといったところです。
特に爆弾の下りなんかは脚色である可能性が高いように感じますね。
メッセージ性とエンタメ性の同居
本作は黒人差別に対するメッセージ性の強い作品でありながら、ストーリー自体は分かりやすく単純に面白い作品でもあります。
重いテーマを扱っているにも関わらずエンターテイメントとしても成立している点が本作の素晴らしいところですね。
これには映画的脚色の力によるものが大きいと推測できます。
事実、本作はアカデミー賞で脚色賞を受賞しています。
衝撃のラストシーン
本作のラストには衝撃的なシーンが用意されていました。
いきなり実際の映像に切り替わるんですよね・・・。
トランプ大統領や映画にも登場したデビッド・デュークの本人映像も登場し、現在も続く差別との戦いを強烈に感じさせる映像でした。
特にラストの白人国家主義者の集会に抗議する人々に車で突っ込む映像や画像はショッキングなものでした。
これには勿論賛否両論あるでしょう。
しかし、スパイク・リー監督が本当に言いたかったことは、このラストの実際の映像に凝縮されているんです。
戦いは終わっていないんです・・・。
エンドロールで流れるプリンス未発表曲
本作のエンドロールではプリンスの未発表曲「Mary Don’t You Weep」が使われています。
スパイク・リー監督はインタビューで「プリンスはあの曲を僕に使って欲しかったと思うんだ。僕からしたらそれ以外に説明しようがないんだ。このカセットは地下倉庫の奥のほうにあったんだよ。それが突然、どこからともなく発見されたなんてさ、偶然とは思えないよね」と語っています。
監督とプリンスは友人だったそうです。
以上が本作のポイントでした。
次は世間での評価と僕の個人的な感想です。
評価と感想
ここからは本作の世間での評価と僕の個人的な感想を書いていきます。
まずは世間での評価から。
世間での評価
本作の世間での評価は5点満点中3.7点(Yahoo!映画)となっています。
実際の声はこんな感じ。
ブラッククランズマン鑑賞……面白い、そして、何故スパイク・リー監督がグリーンブックのオスカーに怒ったのかわかる……グリーンブックはとても良い作品だけど、ブラッククランズマンと並べた時に、今あちらを選んだ人々に、それは怒る……というより、失望したんだろうな……映画の枠を超えた話……
— ほずみ (@hozumi13) March 28, 2019
ブラッククランズマン観ました!
予告見る限り結構ギャグっぽい映画なのかと思ってたけど違った!
でもちゃんと面白い!!
このストーリーがフィクションなら、なにこの団体wで終わったかもしれないけど、実話を基にした話だっていうから驚き。
本当にこんなことがあったんだと思うと心が痛い。。 pic.twitter.com/BzxPtTnKKk— ミュウ (@trumpetkigaku) March 27, 2019
ブラッククランズマン面白いだけでなく色々と考えさせられる作品でおすすめ〜観て〜>RT
— 千となちゅめ (@arctic_ocean06) February 9, 2020
#ブラッククランズマン
特別面白いともつまらないとも思わなかった。
ドキュメンタリーに寄せたいのか、エンターテイメントにしたいのか、どっちつかずって感じ。— 親知らず残り二本 (@jitumeikibou) March 29, 2019
ブラッククランズマンがアマプラにきたあ!と大喜びで早速鑑賞。
ラストシーンが物議を醸したようだけど、あれはあれで効果的な仕掛けだと思ったぞい。
70年代のノスタルジーじゃなく今もそこかしこで起きてるんだ!と最後に冷や水浴びせる感じで。
少なくとも私はぞくっとした。— . (@spiralmojo) March 9, 2020
次は僕の個人的な感想を書いていきます。
個人的感想
ここからは僕の個人的感想です。
いやぁ~面白かった!!
もちろん人種差別に関する強烈なメッセージが込められているのも分かりますし、これでもかって程伝わってもきます。
しかし、そんなことより単純に面白い映画だなってのが僕の感想。
潜入捜査ものは面白いに決まっています。しかもKKKに黒人とユダヤ人のコンビで潜入するんですから、そりゃ面白いです!
しかもこれが実話を基にしてるっていうのも驚きですね!
潜入からラストのネタばらしまでホント最高でした!
また、ストーリー的な面白さに加えて、潜入先のKKK内部の人間ドラマや、ロンとフリップの人間ドラマも非常に見ごたえがあるものだった点も良かったです。
特にKKKのフェリックスやデブなオバサンなんかはとても滑稽に描かれていて、なんだか皮肉めいたものも感じましたね。
そして、ロンとフリップの人種を超えた信頼関係は、どこか危うさも感じられ、そのヨチヨチ歩き感が「これが壊れて欲しくない」と思わせてくれ、なんだかとっても感情移入してしまいました。
ぶっちゃけた話、僕は映画マニアでも70年代に生きたわけでも、人種差別にめちゃくちゃ興味があるわけでもないので、本作を娯楽作品として鑑賞しました。
冒頭の「風と共に去りぬ」の引用や、ブラックパワーやら黒人解放運動やら細かい背景は詳しくは分かりません。
それでも本作が放つメッセージは強烈なものとして僕の中に入ってきました。
そして、それを決定的にしたのがラストシーン。
これは過去の話じゃないと・・・現在進行形の話でもあるんだぞと・・・。
このラストシーンに関しては蛇足だという人がいますが・・・個人的にはあって正解だったと思います。
特に僕のような娯楽作品として本作を鑑賞して、人種差別とはあまり縁がないところで暮す人には尚のことこのラストシーンが必要なんです。
本編部分はいわば肩慣らし・・・ラストのラストで本気の直球を投げ込んできた感覚・・・もう完全にぶちのめされました。
いきなりあの映像を見せられて「どう思うんだ?考えてみろ!!」と言われるより、映画からの流れで見せられた方がよっぽど考えさせられる。
娯楽作品でありながら、考えるきっかけを与えてくれる・・・そんな作品になっている点が本当に素晴らしいと思いました。
やっぱりこういう映画は多くの人に観てもらう必要もありますしね!まず、映画として面白い!興味を引いたところで核心をついてくるような展開にただただ脱帽でした。
僕は「グリーンブック」という映画も大好きですが、本作の方が人種差別をリアルを描いたと言われればそうなのかもしれませんね。
まぁ、だからといって映画としてどちらが上かという問題ではない気もしますが・・・。
あ、そうそう!!
あと、個人的にはアダム・ドライバーにやられましたね(笑)
カッコ良かった~!!!
それから、音楽も素晴らしかったことを最後になってしまいますが付け加えておきますね!
総合的には娯楽作品として、社会派作品として、とってもバランスの取れた素晴らしい作品だと思います。
個人的満足度
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