映画パーフェクトワールドは1993年公開のアメリカ映画です。
巨匠クリント・イーストウッド監督作品で、主演はケビン・コスナー。
誘拐された少年と誘拐犯との、親子にも似た絆を描く傑作ヒューマンドラマです。
当時人気絶頂だったケビン・コスナーが圧倒的な存在感で観るものを魅了します。
また、こちらも当時人気絶頂のローラ・ダーンやイーストウッド監督自らも出演!
この布陣で映画作って名作にならないわけないじゃん!
20年以上経った今でも泣ける映画の代表作でもあるパーフェクトワールドをネタバレ解説していこうと思います。
この映画の本当の意味を理解できましたか?
タイトルにもあるパーフェクトワールドとは?
この記事では、映画のストーリー解説はもちろん、イーストウッド監督が描くパーフェクトワールドの本当の意味なども解説しています。また個人的な感想も書いていますので是非楽しんでください!
この記事は基本的にネタバレ全開です。まだ観ていない方は先に動画配信サービスで観ることをおススメします。
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では早速あらすじとネタバレ解説いってみましょう!
レッツ!!ムーヴィン!!!
もくじ
パーフェクトワールドのあらすじとネタバレ
作品情報とキャスト
映画「パーフェクトワールド」は1993年のアメリカ映画です。
日本での公開は翌1994年となっています。
脚本 : ジョン・リー・ハンコック
製作 : マーク・ジョンソン 、デビット・バルデス
製作総指揮 : バリー・レヴィンソン
音楽 : レニー・ニーハウス
レッド・ガーネット : クリント・イーストウッド
フィリップ・ペリー : T・J・ローサー
サリー・ガーバー : ローラ・ダーン
テリー・ピュー : キース・ザラバッカ
トム・アドラー : レオ・バーメスター
グラディス・ペリー : ジェニファー・グリフィン
この映画はなんと言っても、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったケビン・コスナーです!
ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990)、JFK(1991)、ボディガード(1992)と当時ヒット作を連発中のケビン・コスナーが、この映画でも圧倒的な存在感を放っています。
まさに脂の乗った絶頂期のケビン・コスナーを堪能できる内容です。
また、監督を務めるクリント・イーストウッドも自ら出演。
そして、ローラ・ダーンが脇を固めています。
ローラ・ダーンは1993年、パーフェクトワールドとジュラシックパークの2本に出演。
ローラ・ダーンもまさに絶頂期と言っていいと思います。
そんなハリウッドの重鎮達が圧倒的な演技力で綴る感動のヒューマンドラマです。
では、あらすじをネタバレで解説していきます。
あらすじとネタバレ解説
起
舞台は1963年、アメリカのテキサス州。
刑務所に収監中のブッチ(ケビン・コスナー)は、刑務所で同部屋のテリーと共に脱獄に成功、車を強奪して逃走します。
逃走中にある民家に押し入る2人。
近隣の住民に気付かれた2人は、8歳の少年フィリップを誘拐します。
ブッチはテリーのことを嫌っているので、なんとか巻きたいと思っているのですが、テリーも国境までは一緒に行くと言って聞きません。
仕方なくフィリップも含めた3人で車を走らせることに。
途中、買い出しでとある店に立ち寄ります。
ブッチが買い物をしている間に、テリーはフィリップにちょっかいを出します。
車を降り、畑の中へ逃げていくフィリップ。
追うテリー。
そこへ戻ってきたブッチは、フィリップを助け、テリーを殺します。
そしてブッチはフィリップに聞きます。
「一緒に来るのか?」
うなずくフィリップ。
誘拐されたフィリップでしたが、ここでは自らブッチと行動を共にすることを選びます。
こうして2人の旅は始まったのです。
一方、捜査を担当することになったのは警察署長のレッド(クリント・イーストウッド)です。
州知事の命令で捜査に加わった犯罪心理学者サリー(ローラ・ダーン)と共に事件の捜査に当たります。
昔ながらの感覚で動くレッドと心理分析によって論理的に捜査を進めようとするサリー。
そこにFBIのボビー・リーも加わり、逃走中のブッチの追跡が始まります。
承
フィリップを乗せ車を走らせるブッチ。
途中、ある民家でフォード・セダンを発見します。
フォードはブッチのお父さんが好きだった車です。
このフォードを盗むことに成功し、車を乗り換えます。
子供にはとっても優しいブッチ。
次第にフィリップも心を開き、2人は親子のように心を通わせていきます。
その後、2人はフィリップの洋服を買うために洋服店へ。
ここで警察に見つかってしまいますが、なんとか逃げ切ることに成功。
フィリップはここでも自らの意志でブッチと行くことを決めます。
フィリップは、「出てこいキャスパー」の変装衣装をお店から盗んでいました。
厳格なエホバの証人の信者である母の影響で、フィリップはハロウィンもクリスマスもパーティーもやったことがないと知るブッチ。
父親のような感情が芽生えたブッチは、フィリップがこれまでやりたくてもできなかったことをやらせてあげます。
ハロウィンをやったり、車の上に乗せてローラー・コースターのような気分を体験させてあげたり・・・。
こうして本当の親子のような絆が芽生え始め、2人はアラスカを目指して車を走らせることになります。
そのころ、ブッチの追跡に失敗したレッドは、サリーと語り合います。
レッドの話でブッチの過去が明かされます。
ブッチの父親はブッチに対して暴力をふるう親だったのです。
ブッチとフィリップの目的地はアラスカ。
アラスカは、ブッチがお父さんからもらった絵ハガキに描かれている地です。
ブッチは暴力をふるわれながらも、父親の優しさを信じ、今も父親を求めているのです。
ブッチは自身の経験から、子供には優しいんです。
そして子供に暴力をふるう大人を許せないんですね。
転
道中、畑の中で野宿していたブッチとフィリップ。
すると近隣の住民マックが泊めてくれることに。
2人はマックの家で一晩過ごすことになります。
翌朝、目覚めるとマックは子供に手を上げる親だということが判明します。
ブッチが一番許せないタイプの人間です。
ブッチはマックを殺そうとします。
しかし、フィリップがブッチを止めようと銃でブッチを撃ちます。
銃を捨て野原の方へ逃げていくフィリップ。
ブッチは撃たれた体でフィリップを追いかけます。
やがてブッチはフィリップに追いつきますが、そこにレッド達警察とFBIが到着。
レッドの指揮で人質交渉に入るのです。
結
レッド達警察ととブッチによる交渉が始まります。
その場にはフィリップの母親も来ていました。
また、いつでもブッチを射殺できるように狙撃犯も待機しています。
ブッチはフィリップを返す条件として、「母親にハロウィンを許すと約束させろ」と要求。
更に「祭りに連れて行って、ローラー・コースターに乗せ、綿菓子を買ってやれ」と言います。
約束するフィリップの母親。
フィリップは警察の方へ歩き出します。
しかし、やはりブッチが撃たれるかもしれないと心配になったフィリップは、再びブッチの元へ戻っていきます。
ブッチはフィリップに手を引かれ投降することを決めます。
レッドは1人丸腰で2人に近づきます。
ブッチはフィリップとの別れ際、持っていたアラスカの絵ハガキをフィリップに渡そうとポケットから取り出そうとします。
ところが、銃を取り出すと勘違いされたブッチはFBIボビー・リーに撃たれて死んでしまいます。
ブッチの手に握られた絵ハガキを抜き取るフィリップ。
レッドとサリーにはブッチはフィリップを殺すような人間ではないことが分かっていました。
レッドとサリーは怒り、ブッチを射殺したFBIのボビー・リーを殴ります。
フィリップは母と共にヘリコプターに乗り込み帰っていきます。
ヘリから悲しそうな顔でブッチを見下ろすフィリップ・・・。
こうして映画は幕を閉じるのです。
以上があらすじとなります。
続いては本作が泣ける名作と言われる理由についてです。
泣ける洋画の名作として名高いパーフェクトワールド
本作は、洋画の中でも屈指の泣ける名作に仕上がっています。
ブッチとフィリップの親子にも似た絆、そして別れ・・・老若男女問わず、涙することでしょう。
母の愛情を信じながらも、厳格なエホバの証人の影響でやりたいことができなかったフィリップ。
そんなフィリップと自身の子供時代を重ね、親心が芽生えるブッチ。
2人の絆はお互いを守りたいと思うほど強いものとなっていきます。
ブッチにはフィリップの気持ちが痛いほど分かるんですね。
そんなブッチにやがて心を開いていくフィリップ。
ラスト30分は本当に感動的です。
ハロウィンを母親に約束させてフィリップを返そうとするブッチ。
一度警察隊の方へ歩き出したフィリップが、ブッチを心配して再びブッチの方へ戻ってくるシーン。
フィリップに手を引かれ一緒に投降しようと決心するブッチ。
大切にしていた父からの絵ハガキをフィリップに渡そうとするブッチ。
2人の絆が完璧なまでに表現されています。
そして訪れる別れ・・・。
本当に感動します。
ですが、より深く感動するには、おう1歩踏み込む必要があります。
次はタイトルに込められたメッセージと共にこの物語の本当の意味を紐解いていきます。
パーフェクトワールドの意味は?
本作のタイトルは「パーフェクトワールド」です。
つまり「理想郷」です。
主人公のブッチは父の幻影を求めアラスカという理想郷を目指しています。
ところがフィリップとの旅を通して自分にとっての本当の理想郷を手にすることになったのです。
この映画は冒頭、野原で寝ころぶブッチのシーンから始まっていますよね?
このシーンはラストで撃たれた後のブッチのようにも見えますが、苦痛にゆがんだ顔ではなく、穏やかな顔をしています。
どこか満足げでもあります。
これは、撃たれた後のブッチの心情を画的に表現しているものだと思います。
死ぬ間際、全てが浄化され理想郷にたどり着いたブッチを冒頭に挿入しているんですね。
不器用ながらも自分の理想に向かってもがくブッチが、最後の最後にその理想郷にたどり着く話なのです。
そう考えると、冒頭のシーンがまさにそのパーフェクトワールドで、本編は全て回想シーンとして観ることもできますね。
そしてその理想郷は思わぬところにあったりするのです。
シチュエーションこそ違えど、僕らの人生にも同じようなことって起きたりしますよね?
そんな風に観るとまた違った感動が押し寄せてくると思います。
ですから、ある意味この映画の終わり方はハッピーエンドとも言えるんです。
このような作風はイーストウッド監督の醍醐味の1つです。
このように一見バッドエンドのようで、でも実はハッピーエンドという味わい深い作品がイーストウッド監督作品には多く見られます。
本当に深く深く感動する名作になっています。
イーストウッド監督の作品の中でも1、2を争う感動作だと思います。
次にイーストウッド監督自らも出演することになった経緯についてです。
出演の予定はなかったイーストウッド監督が出演した理由
本作品で、昔ながらの頑固な警察署長を演じるクリント・イーストウッド監督。
スーツにカーボーイハット、ウエスタンブーツというイーストウッドファン垂涎のいで立ちで大活躍していますね。
頑固だけど優しく熱い。
そしてどこか皮肉屋という、まさにイーストウッドが演じるにはもってこいのキャラです。
ですが、当初は監督自身が出演する気はなかったそうです。
ところが、脚本を気に入ったケビン・コスナーの出演が決まり、そのケビン・コスナーに説得される形で出演を決めています。
2人が同じシーンに出てくるのはラストのみですが、ケビン・コスナーとイーストウッドという2大スターが向き合うシーンは胸が熱くなりますね!
ケビン!グッジョブです!
次は映画の評価と個人的な感想です。
パーフェクトワールドの評価と感想
この作品は1993年の公開ですが、25年以上たった2019年現在も泣ける映画の代表作として多くの人に観られている名作です。
世間での評価もかなり良く、おススメに挙げる人も多いですね。
当時、ケビン・コスナーは「ボディガード」等のヒットもあり、まさに旬な俳優でした。
いやー、本作のケビン・コスナーは本当にカッコイイです!
また、イーストウッド監督は言わずもがな、更に脇を固めるのはローラ・ダーンです。
ローラ・ダーンはこの年、ジュラシックパークの第1作目にも出演し、こちらも絶頂期ともいえる活躍ぶり。
このころのローラ・ダーンは本当に綺麗ですね!
そんなノリに乗っている2人とイーストウッド自らが魅せる円熟味溢れる演技。
まぁ、名作になるべくしてなった作品と言えると思います。
そして何より、フィリップ役のT・J・ローサーがかわいいのなんのって!
ちょっと人見知りっぽい地味な感じの子供でしたが、本当に良い演技しています。
イーストウッド監督は子役を使うのが本当にうまいんです。
よく「子役と素人をうまく使える監督は名監督だ」なんて言われますが、イーストウッド監督は子役も素人も本当にうまく使います。
2018年公開の「15時17分、パリ行き」では、主演に本当の素人3人を起用したりもしていますしね。
「15時17分、パリ行き」は実話映画なのですが、じゃあ当事者本人達主演で撮っちゃえってことです・・・なんとも豪快な発想ですね(笑)
本作でもそんなイーストウッド監督の手腕が見事に反映されていますね。
そしてこのパーフェクトワールドはストーリーの方も秀逸で、イーストウッド監督作品ならではの深く感動できる作品になっていると思います。
一見悲しいラストで終わりますが、深く読み解いていくと実はそうとも言い切れない・・・むしろこれはハッピーエンドなのではないかと思うくらい奥行きがあります。
イーストウッド監督は、個人的に「絶望の中にある小さな希望」を描く人だと思っています。
この映画もまさにその通りだと思います。
しかもとってもわかりやすい話なので、多くの方が共感しているのも納得です。
個人的にも本作は名作であると思っています。
ロードムービー的な作風の中で絆を描き、ラストに別れがあるという展開は、どことなくあの名作ターミネーター2を彷彿させますが、こちらはより温かい作品で、ラストの喪失感も大きいです。
ラスト、フィリップがブッチの方へ引き返していくシーンは本当に何度観ても号泣してしまう名シーンだと思います。
本当に感動します。
僕は個人的にイーストウッド監督が大好きなのですが、他人にイーストウッド映画を薦める時、先ずはこのパーフェクトワールドを最初に薦めています。
イーストウッド作品で、1番の名作は「グラントリノ」だと思っていますし、「荒野の用心棒」、「夕日のガンマン」などのウエスタンもの、ダーティーハリーシリーズや、アカデミー賞作品の「許されざる者」、「ミリオンダラー・ベイビー」に「アメリカン・スナイパー」、「ハドソン川の奇跡」などの実話もの等々他にも名作を挙げればキリがありません。
ただ、このパーフェクトワールドは、イーストウッド監督の魅力をとってもわかりやすい形で表現している作品だと思うんです。
取っつきやすいと思うので、入口にはもってこいなんです。
芸術性とエンタメ性が絶妙なバランスで見事に調和した、まさに映画の1つの完成形であると思います。
実際、この作品以降のイーストウッド監督作品はエンタメ性は少しずつ影を潜め、よりリアルでより深く心に刺さる映画を作るようになっていきますしね。
何はともあれ、イーストウッド云々は抜きにしても、後世まで見続けられていく名作であることは間違いないと思います。
僕のお気に入りの1本です。
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