海外ドラマFARGO(ファーゴ)は、あのコーエン兄弟の代表作「ファーゴ」に着想を得て、オリジナルストーリーが展開されるテレビシリーズです。
そのシーズン1にあたる本作は、2014年にアメリカで公開されました。
映画版と同じく「THIS IS A TRUE STORY(これは実話である)」との字幕で幕を開け、映画版への数々のオマージュを散りばめた描写に映画版のファンなら心躍ることでしょう。
ストーリー自体は独立したものですが、映画版で埋められた100万ドルが掘り起こされたりと、映画版と関連するエピソードも出てきます。
映画版を観ていなくても十分楽しめますが、映画版を観ているとより楽しめると思います。
もちろん、ドラマ版にはドラマ版の魅力が満載です。
本当に面白いです!
魅力的なキャラ設定や重厚なストーリー、秀逸なラストシーンなど見所が満載の傑作ドラマに仕上がっていると思います。
このドラマは本当に実話?
映画版との関連は?
登場人物の魅力などを中心にネタバレ解説していきたいと思います。
この記事は基本的にネタバレ全開です。まだ観ていない方は先に動画配信サービスで観ることをおススメします。
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では、早速ネタバレとあらすじからいってみましょう!!
もくじ
ファーゴドラマ版シーズン1のネタバレとあらすじ
作品情報とキャスト
海外ドラマファーゴのシーズン1は2014年にアメリカで放送されました。
映画ファーゴから着想を得て製作された全10話のサスペンスドラマです。
映画版の監督であったコーエン兄弟も製作総指揮として関わっています。
レスター・ナイガード : マーティン・フリーマン : 保険のセールスマン
モリー・ソルヴァーソン : アリソン・トルマン : ミネソタ州ベミジー警察署の副署長
ガス・グリムリー : コリン・ハンクス : ミネソタ州ダルース警察の警官
テレビシリーズということで登場人物は沢山いるのですが、主にこの4人を中心に描かれています。
なんと言っても注目は殺し屋ローン・マルヴォを演じるビリー・ボブ・ソーントンでしょう。
アルマゲドンのトルーマン役などが有名ですね!
僕はビリー・ボブ・ソーントンが大好きなので本当に楽しく観れました!
そして映画ホビットのビルボ・バギンズ役で有名なマーティン・フリーマンもレスター役でいい味出しています!
ストーリー自体は映画版を観ていなくても十分にわかる独自性のあるものです。
しかし、映画版への数々のオマージュを散りばめているだけでなく、映画版と直接繋がるエピソードもありますので、先に映画版を観ているとより楽しめると思います。
では、ファーゴドラマ版シーズン1の10話分のあらすじをネタバレでざっと解説していきます。
あらすじとネタバレ解説
冒頭、「THIS IS A TRUE STORY(これは実話である)」との字幕。
そして「人名以外は忠実に描いた」とも・・・。
この字幕はシーズン1全10話全ての冒頭に挿入されています。
どこかで見たことありますね?
そうです、映画版と同じです。
もちろん、これは映画版と同じく嘘であり演出です。
つまりこのドラマは、いや、このドラマもフィクションです。
そして荘厳なBGMの中、1台の車が向こうから走ってくる・・・。
うぉぉー!映画版と同じじゃないか!!
映画版のファンは冒頭からニヤッととするであろう憎い演出です。
このドラマにはこういった映画版へのオマージュが沢山出てきます。
そういったところも見所の1つですね。
さて、舞台は2006年ミネソタ州ベミジーです。
映画版の19年後ですね。
季節はもちろん冬。
冒頭、マルヴォはある殺しの為にベミジーを訪れます。
その殺しの途中、車で事故に遭い、頭を負傷してしまいます。
マルヴォは病院へ向かいます。
車には頭部を打った時の血痕が残っていました・・・。
一方、保険販売員レスターは、学生時代のいじめっ子サム・ヘスと偶然再会します。
レスターは何をやってもダメなさえない男。
妻や兄に日ごろからバカにされ、なじられている情けない男です。
サム・ヘスと再会したレスターは、学生時代と変わらず嫌がらせを受けます。
このサム・ヘスとの言い合いの途中、建物に顔面を強打、鼻を負傷します。
鼻を負傷したレスターは病院へ・・・この病院で偶然にもマルヴォと出会うこととなるのです。
病院でサム・ヘスとのやり取りをマルヴォに話すレスター。
マルヴォはヘスに言います。
「俺がお前ならサム・ヘスを殺している」
「殺してほしいか?」
レスターは何も答えません。
しかし後日、マルヴォはサム・ヘスを殺害します。
一方のレスターですが、ある日自宅でいつものように妻になじられます。
そしてカッとなったレスターは衝動的に妻を殺害してしまいます。
動揺したレスターはマルヴォに電話で死体の始末を頼みます。
マルヴォの到着を自宅で待つ間、冒頭の殺し事件及びサム・ヘス殺害の疑いで警官がレスターの家にやってきます。
レスターとマルヴォの会話を看護士が聞いていたんですね。
会話の内容と鼻を負傷しているという状況から、冒頭の事件とサム・ヘス殺しは関連性があり、レスターが怪しいと思われたのです。
妻の死体を警官に見られたところで、マルヴォが到着、警官を殺害します。
マルヴォは逃走。
レスターも自ら壁にぶつかり、被害者を装います。
ここまでの事件が全ての始まりとなって物語は展開していきます。
警察副署長のモリー・ソルヴァーソンとミネソタ州ダルース警察の警官ガス・グリムリーは協力して事件を捜査。
やがて2人はレスターとマルヴォを疑い、全ての事件は繋がっていると確信していきますが、2人以外の警官達はそうは思っておらず、なかなか捜査は進展しません。
あの手この手で疑いを逃れていくレスター。
結局、レスターは弟のチャズに全ての罪を着せて無罪放免。
マルヴォの方は、殺害したサム・ヘスが所属していた組織に狙われるも、逆に組織を壊滅させたりと大暴れ。
そしてマルヴォも姿を消します。
1年後、無罪となったレスターは大出世を遂げていました。
レスターは保険会社の表彰式でラスベガスに滞在中、マルヴォと偶然再会します。
そこで、レスターは、マルヴォの殺人を目撃してしまいます。
マルヴォは相変わらず殺し屋の仕事をしているようです。
殺人を目撃したレスターは、マルヴォに追われることになります。
マルヴォは、レスターを追って再びベミジーにやってきます。
ところがマルヴォはレスターを取り逃がし、結局は潜伏先でガスに射殺されます。
マルヴォが持っていた妻殺しの証拠により、ようやくレスターの罪が明るみになります。
レスターは逃走しますが、最後は湖に落ちて死んでしまいます。
ざっとあらすじはこんな感じですね。
次は映画との関連性を解説していきたいと思います。
映画ファーゴとの関連は?映画の続編なのか?リメイクなのか?
このファーゴシーズン1は映画版の19年後の設定です。
舞台となるのも映画版と同じミネソタ州です。
物語自体は独立したものとなっていますが、映画と直接つながるエピソードも登場します。
映画版で雪の中に100万ドルが埋められ、そのままになっていたのを覚えていますか?
その100万ドルを掘り起こすシーンがドラマにはあります。
ドラマ版で100万ドルを掘り起こすのはマイロスという男。
このマイロスは掘り起こした100万ドルを手に後にスーパーマーケットで大成功。
結局は殺し屋のマルヴォに脅迫されまた雪の中に埋めちゃうんですけど、こういったエピソードはファンには嬉しいですよね!
つまり、このドラマシリーズは映画版と世界観を共有したストーリーと言えます。
ストーリー自体は大きな関連はありませんが、リメイクではなく、続編と呼んでいいと思います。
他にも、第1話冒頭シーンや、警官が深夜に電話で起こされるシーン、レスターが鏡の前で演技の練習をするシーン、モリーが妊婦になったりなどなど、映画版へのオマージュがいたるところに散りばめられています。
ですので、先に映画版を観ているとより楽しめると思います。
続いてはこのファーゴドラマ版は実話なのか?ということについてです。
ファーゴドラマ版は実話?
各話の冒頭、映画版と同じように「これは実話である」と字幕が出ます。
しかし、これは映画版同様に物語に信憑性を加える大胆な演出です。
つまり完全なフィクションです。
映画版ではこの演出がとても効果的でした。
無茶な設定やブラックユーモアをうまく覆い隠し、シリアスな雰囲気に観客を誘導していました。
サスペンスとコメディという相反するジャンルを見事に背中合わせの1本にまとめていましたね。
このドラマ版でもシリアスな展開にブラックユーモアをふんだんに混ぜ込む作風は同じです。
しかし、60分×10話と話が長いことや、結構本格的なサスペンス作品になっていることなどもあり、この演出が100%効果的とは言えない気がしました。
別に実話でもフィクションでもどっちでもいいというか・・・。
実話と思うと怖いなって思うような感じではなかったですね。
人気海外ドラマ「24」のリアルタイム設定と同じで、ドラマ版に限っては、まぁ、あってもなくても良いなって感じです(笑)
映画版は絶対ないとダメなんですけどね。
ドラマ版は、ストーリー自体が大変見応えのあるある重厚なものですので、余計そう感じてしまったのかもしれません。
続いてはこのシリーズは続くのか?についてです。
人気海外ドラマのファーゴは続くのか?
このドラマ版ファーゴ、2019年現在、シーズン3まで放送されました。
シーズン4は製作中のようです。
各シーズン独立したストーリーが展開され、ストーリー上の直接の関連はありません。
メインキャストも各シーズンで変わります。
ただ、世界観を共有しているので、ちょいちょい関連したエピソードは登場します。
どこから観ても楽しめる作りではありますが、やはりおすすめは、映画版から公開順に観ていくことですね。
シーズン1には映画版の100万ドルの話がありますし、シーズン2にはモリーの父親が、シーズン3にはシーズン1に出てきたレンチ(サム・ヘスがいた組織の殺し屋)が出てきたりしますから。
順番に観ていった方がより楽しめるのは間違いないです。
では、次は評価と、個人的な感想です。
評価と感想
ではこのファーゴドラマ版シーズン1の評価と感想です。
世間の評価は概ね良好のようですね!
絶賛している人もいますね!
実際、賞レースでも評価されています。
2014年の第66回プライムタイム・エミー賞で、作品賞ミニシリーズ部門、監督賞ミニシリーズ・テレビ映画・ドラマスペシャル部門、キャスティング賞ミニシリーズ・テレビ映画・ドラマスペシャル部門の3部門を受賞しています。
また、2014年の第72回ゴールデングローブ賞ではテレビドラマ作品賞で、ミニシリーズ・テレビ映画部門、男優賞ミニシリーズ部門(ビリー・ボブ・ソーントン)を受賞しました。
さて、個人的な感想ですが、僕自身もとってもおもしろいと思いました。
全10話という短さもあり、一気に観てしまいました。
前半はブラックユーモアをふんだんに織り交ぜつつ、後半にいくにしたがってどんどんシリアスな展開になっていきます。
本格的なサスペンスでストーリーも重厚、伏線の回収なんかも見事で、どんどん引き込まれて行きました。
そして何と言ってもレスターの魅力でしょう!
ダメダメでクズなレスターですが、器じゃないのに次々に大胆なことをしていく。
犯罪者なのになぜか応援したくなっちゃうんですよね(笑)
実は最初から最後までレスターはずっとクズな奴なんですけどね・・・むしろ真っ当な警官モリーの方が悪役に感じることさえあります。
妻を殺して、弟に罪を着せて、後妻も自分の身代わりにして殺して・・・レスターには本当にクズなエピソードしかありません。
でもレスターはどことなく憎めないキャラ設定で、共感を得るような見せ方になっています。
この感じは映画版の主人公ジェリーと同じですね。
この辺がうまいなぁと感心しました。
そして不気味な魅力で存在感を放つ殺し屋マルヴォ。
ビリー・ボブ・ソーントン演じるこの殺し屋マルヴォがまたいい味出していましたね!
個人的にビリー・ボブ・ソーントンは大好きな俳優なので、大活躍で嬉しかったです。
ブラックユーモアで笑わせたかと思うと、殺しの際は容赦はしません。
マルヴォが組織を壊滅させるシーンは演出も見事でしたね!
しかもあの撮り方だと撮影費用も大幅に削減できます(笑)
まさにエコです。
最小限のコストでとっても魅力的なシーンを作る・・・アイディアが素晴らしいと思いました。
レスターもマルヴォも、シリアスとユーモアが同居したようなキャラ設定でとっても魅力的です。
この相反するものの同居や対比はこのファーゴの大きな魅力です。
映画版もそうでした。
物語は違いますが、まぎれもなくファーゴの世界観で、映画版のファンも納得の出来ではないでしょうか?
欲を言うなら警官のモリーがもう少し魅力的に描かれていたらなって思います。
映画版の警官マージのような魅力が感じられず、最後まであまり好きになれませんでした。
当たり前のことを当たり前にする真っ当な人間の位置なのですが、映画版の警官マージにあったような温かさが感じれなかったのが残念です。
ですが総じてキャラは魅力的だと思いました。
ストーリーの方もかなり良かったと思います。
重厚ですが、複雑になり過ぎることなく、とってもわかりやすかったです。
途中でわからなくなることはまずないと思います。
適度にブラックユーモアを入れてきますので、最後まで疲れることなく観れるのも良いです。
映画版で埋めた100万ドルを掘り起こすシーンはファンにはたまりませんしね!
そして個人的に本当に秀逸だと思ったのが、レスターの罪が暴かれるシーンです。
レスターは妻を殺したときにマルヴォに電話をしています。
それを録音していたのです。
このテープが証拠となりレスターの罪は明るみに出ます。
マルヴォは怯える人間の声を聴くという異常な習性があったんですね。
それを匂わせるシーンが第1話の冒頭から出てきます。
この習性を伏線にして、最後の最後でレスターの証拠として回収する・・・このオチが本当に素晴らしいと思いました。
レスターをどうやって捕まえるのか本当に分からなかったので、マルヴォがテープを持っていたことが分かった時は感動しました。
そして、マルヴォを殺し、そのテープを最初に発見したのがガスだってところも良かったですね。
ガスは1度マルヴォを見逃してしまい、そのことでずっと悩んでいました。
そのガスが最後に全てを終わらせるってところがなんか良かったです。
ガスがマルヴォを殺す必然性までは感じなかったのですが・・・まぁそれはそれで良しとしましょう(笑)
また、あれだけ頑張って事件に取り組んできたモリーが、最後はなにも出来ず解決するところに何か皮肉めいたものを感じます。
総じてファーゴの世界観をよく表現していると思いました。
ただ、ファーゴの世界観は表現できていますが、ファーゴの最大の魅力である「実話演出」がうまく生きていないように感じたのが唯一残念な点です。
映画版は実話として観るか、フィクションとして観るかで印象はかなり違います。
そのバランスが絶妙でしたのであれほどの名作となったのだと個人的に思っています。
ところが、このドラマ版はまじめにサスペンスが展開されていますので、実話でもフィクションでもどっちでもいい感じです。
まぁ、それはさておき、ドラマとしては非常に面白いのでおススメです!
個人的満足度
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