映画「累-かさね-」は2018年の日本映画です。

松浦だるまさんによる同名漫画の実写版となります。

土屋太鳳さんと芳根京子さんのW主演!!

容姿にコンプレックスを持った累と圧倒的な美貌をもったニナ・・・。

顔が入れ替わるという不思議な口紅を使って2人は1人の女優として成功を目指す・・・。

一見すると世にも奇妙な物語的な設定で興味を引きますが、次第に作品のメッセージが浮き彫りになっていきます。

内容ははっきり言って薄っぺらいですし、全体的な印象は世にも奇妙な物語状態です。

しかし、僕は本作が伝えようとしているメッセージ自体はとても好きです。

きれいごとじゃない、人としての本質に切り込んだ勇気あるメッセージだと思います。

このメッセージと主演2人の一人二役の演技の素晴らしさがギリギリのところで本作を救っていると思います。

まぁ、しかし、全体的な印象は世にも奇妙な物語ですがね(笑)

この記事ではあらすじやネタバレは勿論、主題歌なんかについても書いています。

また、恒例の僕個人の感想では、本作のメッセージについても考察しています。

どういったところが良くてどういったところが良くないのか?

個人的な見解を正直に書かせていただきました。

是非楽しんでいただけたらと思います。

記事の最後にはBlu-ray/DVD情報や本作を動画配信サービスで視聴する方法もご紹介しています。

是非合わせてチェックしてみて下さい。

 

では、まずはネタバレとあらすじからです。

累-かさね-ネタバレとあらすじ

この項では本作のあらすじをご紹介します。

まずは作品情報とキャストから!

作品情報とキャスト

映画「累-かさね-」は2018年の日本映画です。

松浦だるまによる同名漫画の実写版となります。

 

スタッフ

監督 : 佐藤祐市
脚本 : 黒岩勉
原作 : 松浦だるま『累-かさね-』
音楽 : 菅野祐悟
主題歌 : Aimer「Black Bird」

 

キャスト(役名 : 俳優)

丹沢ニナ : 土屋太鳳
淵累 : 芳根京子
烏合零太 : 横山裕(関ジャニ∞)
淵峰世 : 筒井真理子
丹沢紡美 : 生田智子
富士原佳雄 : 村井國夫
淵透世 : 檀れい
羽生田釿互 : 浅野忠信

 

次は、早速あらすじです。

あらすじとネタバレ解説

淵累(芳根京子)は、顔に大きな傷があるため強いコンプレックスの中で生きてきました。

大女優である累の母、淵峰世の13回忌の法要の席で、累はかつて澄世と親しかったという羽生田(浅野忠信)という男と出会います。

羽生田は澄世が累に遺した口紅の秘密を知っている男でした。

口紅の秘密・・・その口紅を塗って口づけを交わすと12時間は顔が入れかわるのです。

そのことを知っていた羽生田は累を丹沢ニナ(土屋太鳳)に引き合わせます。

丹沢ニナは羽生田が面倒を見ている売れない女優で、圧倒的な美貌を持ちながらも演技は下手、おまけに睡眠障害を持っているという・・・なんとも残念な女優。

羽生田は累の中にある認証欲求を見抜き、口紅を使ってニナと累を入れ替えることを提案するのです・・・。

口紅を使って顔を入れ替えることによって、丹沢ニナの美貌と累の演技力を兼ね備えた最強の女優「丹沢ニナ」が誕生します。

最強女優となったニナは新気鋭の演出家、烏合零太(横山裕)の舞台に抜擢されます。

そんな中、ニナの顔をした累に烏合は惹かれていきます。

また、累もニナの顔を得たことで積極的になり烏合に恋をしていくのでした。

そんな2人に納得がいかないのが本来のニナ。

本来のニナは、昔から烏合に憧れていて、烏合に会う為に女優になりたかったようなものだったのです。

2人は烏合をめぐって激しく対立・・・協力関係を解消しようとするのでした・・・。

協力関係を解消しようとした矢先、ニナの持病が発症し5ヵ月もの間眠ったままになってしまいます。

ニナが眠っていた5か月の間に累はニナの顔を借り、女優として大活躍していたのです・・・。

また、累の母も口紅を使って大女優になったことが発覚します。

そして累の顔の傷についても・・・累の顔の傷は、小学校のクラスメイトの美貌に嫉妬したことによって起きた事故が原因だったのです・・・。

結末

目覚めたニナはやはり自分自身に戻りたいと思います。

しかし、累もニナの顔を譲りたくないのです。

顔も心も醜い累・・・顔も心も綺麗なニナ・・・対照的な2人は、ニナの顔をめぐって激しく対立・・・劇場の屋上で揉みあいになります。

結局、2人は屋上から転落・・・ニナの顔をゲットしたのは累でした。

累はニナの顔で舞台へ戻るのでした・・・。

 

以上がかんたんなあらすじです。

次は主題歌についてです。

主題歌は?

本作の主題歌はAimerさんによる「Black Bird」という曲です。

Aimerさんにとって14枚目のシングル曲で、「思い出」をコンセプトに製作されたようです。

ダークで激しい曲調が映画にマッチしていますね!

特に累の心情を連想させるような歌詞がとても印象的です。

「Black Bird」には単に「黒い鳥」という意味以外にも黒人のことを指すスラングとして使われることもあります。

差別を受けてきた黒人と顔に傷がある累・・・どこか重なる部分もあり主題歌にはピッタリですね!

Aimerさんはアニソン歌手のイメージが強いですが、本当にクオリティの高い楽曲が多いので、この曲を気に入ったのでしたら是非他の曲も聴いてみて下さい!

 

次は原作漫画についてです。

原作漫画について・・・原作との違いは?

本作の原作は「イブニング」で連載されていた松浦だるまさんの同名漫画です。

もちろんコミック化され、全14巻として完結しています。

本作を気になった方は是非読んでみると良いと思います。

僕は未読ですが、読んだ人の話によると・・・止まらなくなるそうです(笑)

映画とも結構違うので面白いそうですよ!

原作ではニナは完全に脇役の位置で、映画ではよく分からなかった羽生田についても詳しく描かれているそうです。

ここでネタバレはしませんが、本作を気に入った方にはおススメです!!

 

次はタイトルにもなっている「累」の意味についてです。

累-かさね-の意味は?

本作のタイトルでもあり、主人公の名前でもある「累」・・・意味が気になった方も多いと思います。

単に言葉の意味だけでしたら「しばられて離れないもの。かかわりあい。足手まといのわずらい。」といった意味や、「かさねる。かさなり。」といった意味になり、なんとなく物語ともリンクしているように思います。

しかし、僕は歌舞伎の「累物」の元になった「累伝説」からきているのかなぁと思っています。

「累伝説」とは、醜い姿に生まれついた累という主人公の嫉妬と怨念のお話です。

具体的にはこんな感じ。

 

下総の国、羽生村(はにゅうむら、現在の茨城県水海道市です)に一人の醜い容貌の女性がいました。名を"累"と言います。母親が醜い子を川の中に突き落とした祟りで、醜い姿に生まれついた累は、百姓"与右衛門(よえもん)"と結婚しましたが、容貌が醜いだけでなく心まで捩(ね)じれた性悪(しょうわる)の嫉妬深い女性だったということです。耐え兼ねた与右衛門は累を鬼怒川(きぬがわ)で殺してしまいます。後妻を迎えた与右衛門に累の怨霊が祟り、後妻は次々と死んでしまいますが、6人目の後妻"菊"に累の怨霊が乗り移ってあらぬ事ばかり口走るので、祐天上人(ゆうてんしょうにん)を招いてその法力で累の怨霊を鎮めてもらい、累もようやく解脱(げだつ)したという話が「累伝説」です。

一部抜粋 : http://ohanashi.edo-jidai.com/kabuki/html/ess/ess134.html

 

ね?

なんとなくそんな気がしません?

これに関しては原作者である松浦だるまさんが何か語っているかもしれませんが・・・僕はそこまで熱心なファンではありませんので、正確には分かりません。

ですが、個人的にはそんな印象を受けました。

 

次は評価と個人的な感想です。

評価と感想

本作の世間での評価は5点満点中3.8点(Yahoo!映画)と結構高評価です。

設定の面白さと、主演2人の演技を評価する声が多くみられます。

否定的な方の意見としては、土屋太鳳さんの演技力への不満や、そもそも映画の中の設定を役者が演じ切れていないなどといった意見、内容の薄さを指摘する方などいますね。

さて、ここからは個人的な感想です。

僕は原作の存在すら知らず、予告で初めてこの映画のことを知りました。

最初に感じたのは、多くの方と同じように設定がとっても面白そうだってこと。

邦画の設定は結構面白そうなものが多いんですよね!!

でも、ここで危惧されるのが、邦画にありがちな「設定に内容がついていかない」ってことです(笑)

で、結論から言うと、本作も例にもれずその感じでした・・・ガーン!!!

正直、世にも奇妙な物語状態なんです・・・。

最近観た作品に多いんだよなぁこの感じ(笑)

「スマホを落としただけなのに」とか「コーヒーが冷めないうちに」とか・・・。

設定が現実離れしているのはOKなんですが、どうも人間ドラマや人物の背景が薄い気がするんです・・・。

まぁ2時間しかないとそこまで描けないのかもしれませんが・・・。

浅野さん演じる羽生田なんて最後まで「なにがしたいの?」感が否めませんでしたし、ちょくちょく出てくる累のお母さんの意味もちょっと分からなかったですし。

丹沢ニナが売れたい理由も薄すぎて・・・。

そもそも演技が下手で売れてなかったら優越感なんて持ってないでしょうに・・・。

そして多くの方が思うように累を演じる芳根京子さんが土屋太鳳さんより奇麗なので、累の悲壮感があまり伝わってこないのです(笑)

もう少し思い切ったキャスティングでも面白かったかもですね。

そんなこんなで、単に口紅で顔が入れ替わるという世にも奇妙な物語状態といった印象が強いです。

あと個人的に一番最悪だったのが、舞台の「かもめ」と「サロメ」を累の心理描写として使っていた点。

しかも尺が長い・・・劇中で劇中舞台の説明まで字幕で出す始末・・・これは個人的には全く受け付けませんでした。

土屋太鳳さんのダンスに焦点を当てたかったというのもあると思いますが・・・はっきり言って効果的だったとは到底思えません。

多くの人は劇中舞台の内容なんか気にしないものです。

「あー、累がニナとして舞台に立っているんだなぁ~」程度にしか観ないんです・・・。

芸術の観点からみると良いのかもしれませんが、娯楽として映画を楽しんでいる僕には退屈極まりないシーンでした。

そういうの求めてないんだよね感が否めません・・・。

その尺をもう少し他に充てて人物描写を丁寧に描いて欲しかったなって個人的には感じました。

色々不満はある内容でしたが、結構良かった点もありますので、ここからは良い点を!!

まず個人的に一番良いと感じたのは、累とニナの対比です。

普通でしたら、「容姿は醜いけど心は綺麗」と「容姿は美しいけど心は醜い」で対比しそうなもんですけど、本作は「容姿も心も醜い累」と「容姿も心も美しいニナ」で対比しています。

そこはちょっといい意味で期待を裏切られ、新鮮だなって思いました。

綺麗ごとになってなくてとっても良い感じです!

現実でもそういう人いますよね(笑)

劣等感からくる卑屈な精神・・・こうなってしまうと本当に醜い人間になってしまいます。

周りから避けられ孤立していくのは容姿のせいではなく心の問題だという本作のメッセージはとても共感できるものでした。

このメッセージを表現するために「容姿も心も醜い累」と「容姿も心も美しいニナ」で対比しているんだなと納得です。

まぁ、ニナの心が美しいかはかなり微妙ですが(笑)

でも本作のメッセージは人としての本質に切り込んだ思い切ったものだと思います。

その勇気には感服しました。

世にも奇妙な物語的な内容ですが、このメッセージがあることが作品を救っていると思います。

これが単に猟奇物の作品だったら完全にアウトですからね(笑)

もう一つ良かった点は、主演2人の演技です。

外見が入れ変わるということは一人二役となります。

それを見事に演じていた土屋太鳳さんと芳根京子さんはお見事としか言えません!

今どっち?という風にならなずに最後まで鑑賞できたのは2人の演技力によるものもあると思います。

土屋太鳳さんの演技力を否定されている方も多いですが、僕は結構すごいなって思いましたよ!

それから浅野忠信さんはさすがですね!

役の羽生田は何がしたいのか分かりませんでしたが・・・浅野忠信さんはやはり一流の俳優さんですね!

若い2人が主演ですが、脇に実力派がいると作品は締まりますね!

こうして総合的にみると・・・

不満な点も多く内容も薄いとはおもいますが、作品のメッセージは個人的に「よくぞ言ってくれた!」的なものですし、キャスト陣の演技もなかなか良いので結構楽しめたんじゃないかなぁって今更思っています。

特にメッセージの部分は個人的にはなまるですしね!

卑屈な精神からくる劣等感・・・劣等感からくる卑屈な精神・・・外見の話をしているようで実は内面をえぐり出しているような作風とメッセージが後になってジワジワと心に突き刺さってきます・・・。

世にも奇妙な物語と言ったことを訂正した方がいいかな・・・(笑)

 

次はBlu-ray/DVD情報です。

累-かさね-をBlu-ray/DVDで観よう!

本作はVODで観ることができませんので購入を考えている方も多いと思います。

購入するなら特典満載の豪華版一択だと思います!

 

次は累-かさね-を動画配信サービス/VODで視聴する方法をご紹介します。

累-かさね-を動画配信サービス/VODで視聴する方法

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本作はVODで視聴することができない作品となっています。

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