映画「人魚の眠る家」あらすじとネタバレ解説!評価と感想
(C)2018「人魚の眠る家」 製作委員会
映画「人魚の眠る家」は2018年の日本映画です。

主演に篠原涼子さん!

共演には西島秀俊さん、坂口健太郎さんと超豪華キャスト!

原作は東野圭吾さんの同名小説です。

どこからが「死」か?

娘が脳死状態になった母親の感情を通して、重いテーマを社会に投げかける問題作です。

本当に深く考えさせられる映画になっています。

親なのかどうなのか・・・母親なのか父親なのか・・・男か女か・・・本当に観る人の立場によって大きく感想は異なる映画だと思います。

そして本当の意味で本作の主人公の薫に共感できるのは、実際に母親になった人だけなのではないでしょうか?

僕は、男性であり、親でもありません・・・いわば薫の立場から一番遠い位置にいます。

この記事では、そんな僕が僕なりの視点で本作を解説しています。

また、注目を集めた子役たちの熱演についてや評価、個人的な感想も書いていますのでぜひ楽しんでください。

また、記事の最後にはBlu-ray/DVD情報や本作を動画配信サービスで視聴する方法もご紹介しています。

 

では、早速あらすじとネタバレ解説いってみます。

映画「人魚の眠る家」あらすじとネタバレ解説!

作品情報とキャスト

映画「人魚の眠る家」は2018年の日本映画です。

興行収入は約10億円となっています。

 

スタッフ
監督 : 堤幸彦
脚本 : 篠崎絵里子
製作 : 新垣弘隆、梶本圭、他
製作総指揮 : 吉田繁暁、臼井裕詞
音楽:アレクシス・フレンチ
原作 : 東野圭吾「人魚の眠る家」
キャスト(役名 : 俳優)
播磨薫子:篠原涼子
播磨和昌:西島秀俊
星野祐也:坂口健太郎
川嶋真緒:川栄李奈
美晴:山口紗弥加
進藤:田中哲司
播磨瑞穂:稲垣来泉
播磨生人:斎藤汰鷹
若葉:荒川梨杏
宗吾:荒木飛羽
播磨多津朗:田中泯
千鶴子:松坂慶子

 

本作の監督は、20世紀少年やトリックシリーズ、SPECシリーズなど数々の名作を世に送り出している堤幸彦監督です。

2015年には同じ東野圭吾作品である「天空の蜂」の監督も務めていました。

そしてキャスト陣は篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎と主演級が3人も登場するという豪華ぶり!!邦画のキャストは豪華ですね(笑)

主演には篠原涼子さん!

本作が公開された2018年には「SUNNY 強い気持ち・強い愛」にも主演として出演しています。

何気に篠原涼子さんの主演映画は少ないのですが、本作や「SUNNY 強い気持ち・強い愛」での演技は本当に素晴らしいです。

 

また、本作では子役たちの名演も大きな見所の1つとなっています。

 

では、まずはあらすじから。

あらすじ

二人の子を持つ播磨薫子(篠原涼子)と、IT機器メーカーを経営する夫・和昌(西島秀俊)。そんな二人は、娘の小学校受験が終わったら離婚すると約束していた。だがある日、娘の瑞穂がプールで溺れ、意識不明になったという悲報が届く。意識不明のまま回復の見込みがない娘を前に、生かし続けるか、死を受け入れるかという究極の選択を迫られた二人は、和昌の会社の最先端技術を駆使して前例のない延命治療を開始。治療の結果、娘はただ眠っているかのように美しい姿を取り戻していくが、その姿は薫子の狂気を呼び覚まし、次第に薫子の行動はエスカレートしていくのだった。やがて、和昌の父・多津朗(田中泯)や、薫子の母・千鶴子(松坂慶子)、技術研究者の星野祐也(坂口健太郎)とその恋人・川嶋真緒(川栄李奈)らを巻き込み、彼らの運命を狂わせていく……。

Movie Walkerより引用 : https://movie.walkerplus.com/mv64434/

 

次は作品をポイントで解説していきます。

ここがポイント!!

では本作をポイントごとに解説していきたいと思います。

何を持って「死」とするか

本作は何を持って「死」とするか?ということがテーマとなっています。

6歳の少女瑞穂は、プールで溺れ、脳死の状態となってしまいます。

心臓は動いているが、脳は機能しておらず、このまま目を覚ますことはない・・・。

日本の法律ではこの状態ではまだ生きていることになっており、臓器提供を希望した場合のみ脳死判定をし、それによって「死」と扱うことになっています。

一度は臓器提供に同意した母・薫子と父・和昌でしたが、脳死判定テストの際に瑞穂の指がかすかに動き、やはり延命措置をする決断をします。

瑞穂の横隔膜にペースメーカーを入れることで器官に管を通さずに呼吸をさせ、また、脳波の信号を脊髄に人工的に送り筋肉を動かすことで、瑞穂の意識はないにもかかわらず生きていることとして暮らすようになる母・薫子・・・。

瑞穂は生きているのか?死んでいるのか?

瑞穂と薫子の生活を科学的な観点や道徳的な観点を交えて描き、どこからが「死」なのか?ということを僕らに問いかけています。

前半と後半の視点の違い

本作の前半は、母・薫子の心情に主観を置いた描き方になっており、薫子に共感をさせるような作りになっています。

しかし、後半になるにつれその描き方は一変します。

後半は周りの人々の視点が主になっていき、母・薫子の行動や言動は狂気じみた描き方に変わります。

BGMや演出も後半は思いっきりサスペンス風味で怖い怖い(笑)

この視点の切り替えによって、本作は脳死について深く考えさせられる内容になっています。

視点が変わっただけで、母・薫子の瑞穂に対する気持ちは変わっていないのです。

母親にしかわからない感情

本作はどこからが「死」なのか?ということを世の中に問う、いわば社会派の映画です。

この映画を観た人はそれぞれ考えを巡らせ、「自分はこう思う」というような感情を持つと思います。

母・薫子の気持ちが分かる人、分からない人、「脳死=死」と思う人、「心臓が止まって死」と思う人・・・様々だと思います。

ただ、本当に母・薫子の気持ちに共感でき理解できるのは、実際に母親になったことがある人だけなのではないでしょうか?

自分のお腹の中で共に過ごし、大変な思いをして産み育てたわが子を思う母の気持ちは、父親でさえも分からない感情なのかもしれません。

僕は母親でもなければ人の親でもありません。

なので、どちらかというと冷めた目で観てしまいました。

いつか僕も人の親になる時が来たら、この気持ちを少しでも理解できるようになるのかもしれません。

ラストシーンの意味

本作のラストシーンは、心臓移植を受けた宗吾が何かに導かれるようにしてある場所に行きます。

宗吾が辿り着いた場所は薫子や瑞穂の家です。

しかし家は既に更地・・・。

なんの説明もないまま映画は幕を閉じます。

「え?どういうこと?」ってなった人も多いと思います。

これについては完全に観る人に解釈が任された部分だと思います。

原作小説でも少女が車いすで眠っていた家と書かれているだけです。

個人的には、瑞穂は宗吾の中に生きていているといったことを表す描写のように思いました。

しかし、更地になっていたことから、宗吾は宗吾であり、瑞穂ではないこと、臓器提供を受けた人が過剰なまでに提供者との繋がりを感じることはないということを表していることのように思います。

また、薫子達家族が瑞穂の死を受け入れたことの描写であるようにも感じます。

その後、場面は空撮に変わっていくのですが、これを臓器が抜けた人体を表しているといった見方もできます。

人それぞれ色々な解釈ができるいわば「余白」の部分です。

映画自体も「どこからが死か?」という問いかけはすれど、明確な答えは提示していません。

このラストシーンの「余白」にそれぞれの答えを書き込めば良いのです。

何気に深いラストシーンだと思いました。

 

次は子役たちの熱演についてです。

子役たちの熱演に注目

本作は篠原涼子さん、西島秀俊さん、坂口健太郎さんなど主演級の俳優が豪華共演していますが、それ以上に注目を集めたのが子役たちの熱演です。

瑞穂役の稲垣来泉さん

本作で瑞穂を演じる稲垣来泉さんは2019年現在は8歳です。

4歳の時から子役として「闇金ウシジマくん Season3」、「連続テレビ小説 とと姉ちゃん」、「砂の塔〜知りすぎた隣人」、「コウノドリ」などなど数々のテレビドラマに出演。
また、多くのCMにも出演する人気子役ですね!

本作では殆ど座って目を閉じていただけですが、あの「無」な感じが素晴らしかったです。

手や足を上げ下げする演技もさすがでしたね!!

瑞穂の弟役の斎藤汰鷹さん

本作では母の狂気じみた行動に戸惑いながら苦悩する瑞穂の弟を見事に演じていました。

最大の見せ場は誕生日会でしょうか?

観る者の涙を誘う素晴らしい演技でした。

2019年現在9歳・・・これからが楽しみです。

瑞穂のいとこ役の荒川梨杏さん

瑞穂のいとこ役は荒川梨杏さん。

自らの代わりに犠牲となった瑞穂に対して罪悪感に苦悩する少女を熱演・・・事故の真相が明らかになるシーンでの熱演は素晴らしかったですね。

数々のドラマやCMに出演している彼女はまだ10歳・・・これからが楽しみです。

宗吾役の荒木飛羽さん

近年ではNHKの連続テレビ小説「半分、青い。」に出演し、注目を集めた荒木飛羽さん。

9歳の時にデビューし、これまでにも多くのテレビドラマや映画に出演しています。

本作では最初と最後のちょっとしか出番はありませんでしたが、相変わらずのイケメンでしたね!

本作を見事に締めくくるその演技はもう完全に大人顔負けです。

2019年現在13歳・・・これからますます楽しみな俳優ですね!!

 

次は原作小説との違いについてです。

原作との違い

ここでは原作小説との違いを解説していきます。

違いは大きく2点あります。

原作との違い・その1

まずは原作に登場した女教師が映画には登場しない点です。

原作では特別支援学校から先生が定期的に来て、薫子との心の葛藤や触れ合いが描かれています。

葛藤の中、100万円を寄付するのも原作ではこの女教師です。

映画の方でこの役割を担っていたのは夫の和昌ですね。

女教師を夫に置き換えるような形にすることによって、家族や夫婦間での問題としてフォーカスしています。

夫婦間でも意見が違うこと、男女間でも意見が違うこと、家族の絆など、より身近な問題として作品に入り込みやすい形になっていると思います。

原作ファンは賛否両論あると思いますが、僕はかなり良い脚色のように思いました。

原作との違い・その2

そしてもう1点大きな違いがあります。

映画では、瑞穂はプールに行く前に、「いい場所を見つけたから案内してあげる」と、スケッチブックにその場所の絵を描き残しています・・・そして、薫子は、瑞穂の介護生活の中で車椅子を引いてはその場所を必死で探します。

やがて、その場所を見つける家族・・・ハートの形にくりぬかれた木の中を家族が覗き込む・・・瑞穂が家族を再び1つにしたような感動的なクライマックスです。

これ、全部映画のオリジナルなんです!!

えーーー!?

と思った方も多いのではないでしょうか?

なんならこの映画で一番の感動シーンですからね!!

僕はこの脚色もとても良かったと思っています。

常軌を逸した行動のように思われていた薫子の行動に、実は深い愛情があったのです・・・物事を2面性を見事に表現した素晴らしい脚色だと個人的には思います。

以上2点が大きな違いです。

原作ファンも多い本作ですので、賛否両論なのは理解できます。

ですが、個人的にはどちらも素晴らしい脚色だったのかなって思いました。

原作未読の人はぜひ読んでみて下さい。

 

次は主題歌についてです。

主題歌

本作の主題歌は、絢香さんの歌う「あいことば」です。

絢香さんの5枚目のアルバム「30 y/o」に収録されています。

映画の映像を使ったMVも製作されています。

映画に寄り添うような深い愛情を感じる名曲ですね!

絢香さん自身も娘さんを持つ母親であることも曲に説得力を持たせています。

 

次は評価と個人的な感想です。

評価と感想

世間での評価と個人的な感想です。

まずは世間での評価からです。

世間での評価

本作の世間での評価は5点満点中3.8点(Yahoo!映画)といったところです。

基本的には普通~高評価が目立つ作品です。

テーマが重いということもあり、やはり深く考えさせられるという点は皆さん共通した感想としてあるようです。

実際の声はこんな感じ。

 

次は僕の個人的な感想です。

個人的感想

ここからは僕の個人的な感想を書いていきますね。

僕は男であり、子供もいなければ、結婚もしていません・・・つまり本作の薫子に共感するには一番遠い位置にいます。

そのことを大前提として感想を書いていきます。

僕も多くの方と同じように色々考えさせられました。

映画ではそれぞれの登場人物がそれぞれの視点で瑞穂と向き合っています。

立場や瑞穂に対する気持ち、距離感によって行動や考えが変わるといった描かれ方をしていますので、誰に共感するかも人それぞれだと思います。

僕個人的には、夫の和昌や川栄李奈さん演じる川嶋真緒に共感しました。

やはり薫子の行動はちょっと異常に思いましたし、若干の気持ち悪さや怖さを感じました。

川栄李奈さん演じる川嶋真緒からしたら、本当にやってらんない感しかないように思います。

あの感じ、分かります。

つまり僕はどこか他人事として本作を鑑賞していたということです。

勿論、薫子の気持ちは理解できますが、共感したかと聞かれれば答えは「全く共感していない」となります。

これは夫の和昌の感情に近いですね。

きっと薫子の気持ちは実際に母親になった人にしかわからないものなんでしょう・・・。

ただ、だからといって映画自体がつまらなかったかというとそうではありません。

瑞穂が残したスケッチブックの下りなどは、とてもハートフルに描かれていて感動しましたし、薫子が瑞穂の「死」を受け入れるところや、夫の和昌の「死」に対する価値観が語られるラストシーンも良かったです。

また、前半と後半で視点を切り替えることによって浮かび上がる問題提起・・・これもとてもうまくできているなって思いました。

薫子が瑞穂を連れまわしているようにしか見えなかったシーンに、そんな意味があったなんて!!と感動的しました。

また、クライマックスで薫子が瑞穂を殺そうとするシーン・・・ここは賛否両論あるとは思いますが、僕は東野さんらしいなって思います。

東野さんの作品に登場する人物は「振り切っている人」が多いんです。

中途半端には描かない・・・この振り切り方が本当に大事だと僕は思います。

薫子の瑞穂に対する愛情は究極なんです。

この究極の感情を表現するのが本当にうまい作家だと個人的には思っています。

近年映画化された「ラプラスの魔女」にしても、大ヒットした「容疑者Xの献身」にしても、僕が個人的に大好きな「白夜行」にしてもそう・・・犯人は常に究極の感情で振り切っています。

そして基本的には全てが人間ドラマの上に成り立っている点も好きな点です。

本作はサスペンスではありませんが、社会問題を提起しつつも土台には確かな人間ドラマと人の感情があります。

なので薫子に共感はできなくても作品としてはとても良かったと思います。

実際、感動しましたしね。

また、原作ファンには賛否両論となった2つの大きな脚色も個人的にはとても良かったです。

特にハートの形をした木を家族が覗き込むシーン・・・瑞穂が再び家族を一つにしたような・・・とても素敵なシーンで号泣しました。

本作は、どこからが「死」か?という問題提起もされていますが、「脳死=死」で、それを受け入れるまでのそれぞれの葛藤を描いているようにも思います。

最新技術で生かされているような状態の瑞穂を、「脳死=死」と受け入れた人からその状態を疑問に思っていく・・・そんな構図になっているのが興味深かったです。

僕は母親には一生なることは出来ませんので、もしかしたら薫子に共感できる日は来ないのかもしれません・・・ですが、もし今後親になった時にどう思うのか・・・。

本当に深く考えさせられる映画でした。

 

次はBlu-ray/DVD情報です。

映画「人魚の眠る家」をBlu-ray/DVDで観よう!

購入するのでしたら未公開シーンやメイキング映像などの特典映像満載のBlu-ray豪華版がおススメです。

 

次は本作を動画配信サービス/VODで視聴する方法をご紹介します。

映画「人魚の眠る家」を動画配信サービス/VODで視聴する方法

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